逢 瀬



逢 瀬

La Pomme Prisonniere/あきら*様



−ああ、この気配。近づいてくる、彼の。

私はペンを置いて首を回し、小さく笑みを浮かべる。
時刻は深夜、暗い夜空にはやたらと明るい銀の三日月。
もう少ししたら、窓を開けよう。


ずっと昔からそうだった。バカみたいに真っ直ぐで、晴れやかに笑っていて。
夏の最中に陽の光の下咲き誇る向日葵のような金色の髪を揺らして。
どんなことがあっても、どんなに辛くても悲しくても。
決して折れずに立ってきた彼。

出会った頃から本当に騒がしくて、せわしなく私の名を読んでは、「好き、大好き」を繰り返して。
どんなに振り払っても拒否しても、取り合わなくても。
私のこと好きだ、って。大好きだって。ずっと変わらず。
私がほかの人を好きだってわかってても、他の誰かに憧れてても、ずっとずっと。


今思うとホントすごいわよね。バカみたい。
ホント馬鹿。 …でも可愛い。


青い空の色の瞳、向日葵のような金色、明るい笑顔、伸びやかに動く体、
嬉しそうに私を呼ぶ声。


(サクラちゃん)
(好き、大好き。ずっと、ずっと。)


追われ続けて、逃げて逃げて躱し続けて…

そしていつの間にか好きになってた。彼を。
捕まっちゃってた。


(降参)
(私も、好きよ)


ねえ、私でいいの。
本当に私でいいの。

ねえ。


(サクラちゃんが、いいの。俺、すごく幸せ。)
(俺のこと好きになってくれて、ありがとう。大好き。)


私は立ち上がる。
窓に手をかける。
窓の外、その下には彼の気配。


−からり。


優しい金色が見えて、お互いに笑顔を浮かべて。


(ただいま)

(おかえりなさい、お疲れ様。)


互いにとても忙しくて、日中なかなか会うことができなくても…
一日の終わり、わずかでもお互いを確認できた、その幸せ。


窓の下には、微笑む彼。

私の…今、好きな人。

これからもずっと、好きな人。



(次の非番はいつだったかしら?)





【コメント】
両思いになったら、表面的には冷静に見えてても、べったべたに好き合っているといいなあ。と思うのです。
いや、ナルトはもともと呆れるくらいにサクラちゃんのことが好きだけれども、
サクラちゃんのほうが、自分の気持ちについてけなくて意地張ったりいろいろ気にしたり、恥ずかしくてやきもきするみたいな。
でも一緒にいるのがすごく嬉しい、みたいな。
基本男前サクラちゃんバンザイなんですけれども、乙女垣間見える様子に萌えます。






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