(注)「ROAD TO NINJA」設定です。本当はメンマさんなんですが、書いてる本人が楽しいのでナルト表記でお願いします。 森に残っているトラップを解除しながら移動していたら、苔に足を取られて体勢を崩してしまった。サクラはすかさず空中で姿勢を整えて着地をしようとするが、後ろについていたサスケがその身体を素早く抱きかかえた。音も衝撃もなく地面に降り立つ。 「ごめんね、ありがとう」 「いいや」 サスケは首を振って答えると、そのまますたすたと歩き出した。 「サスケ君、ありがとう」 しっかりと一字一句を発音して訴えるが、サスケはそうするのが当然のように足を前に運ぶ。察しの悪い人ではないし、これは間違いなく確信犯だ。 「今のは、降ろして欲しいって意味なんだけど」 「わかってる」 「じゃあ早く降ろして」 「降ろす理由がない」 「あるわよ。こんな格好のままじゃ応戦もできないでしょう?残党がいないとも限らないんだから」 「そろそろ合流地点だろ。トラップも今ので最後だ。オレはこのまま里に帰る」 里外任務が長くなり、女日照りのサスケは、朝からずーっと不機嫌だった。里に戻れば盛大な出迎えが待っているというのに、あと少しが我慢できないらしい。女を手元に置いておかなければ気がすまないのだ。こうなれば男に変化でもしてやろうかとサクラは考えるが、あまりにもバカバカしくてやる気が起きない。 「オレの腕を信じろ。チャクラは残ってるし、眼もまだ使える。お前一人ぐらいどうってことはない」 「……だったら任務に対してもっと真剣に取り組んでよ」 「十分貢献してるだろ」 「あなたならもっとやれるでしょって言ってるの」 暖簾に腕押し、柳に風。何を言ったところで、うちはの次男坊は持って生まれた才能だけでどうにかしてしまう。修行はそれなりにしているのだろうが、本気になればこんなものじゃないはずだ。一緒に任務をこなしていると、恐ろしいほどの伸びしろを感じる。 「オレが任務でしくじったことがあるか?」 「いいえ。一度も」 「なら、問題ねえだろ」 それでも納得できずに口を開きかけるサクラだが、暢気な声が前方から聞こえてきた。 「お疲れさーん。首尾はどーよ」 違うルートで移動していたナルトだ。両腕でしっかりとサクラを抱えたまま、サスケはその場に立ち止まる。二人の佇まいに気づくなり、一瞬にしてナルトの表情が険しくなった。ポケットに両手を突っ込み、肩をいからせ、チンピラみたいな風貌で近づいてくる。サクラをちらりと見遣ってから、ずいっとサスケの顔を覗き込むと、ドスの効いた声で一言。 「よこせ」 「やらん」 「あァ!?上等だコラァ!」 「邪魔だ、どけ」 「人を間に挟んで喧嘩しないでよ!」 珍しく声を荒げて怒るサクラに、カカシがどうかしたかと慌てて降りてきた。 「なんだなんだ、仲間割れか?いつもの熱い友情はどうした!」 「先生、この人説得してください。降ろせって言ってるのに全然聞かなくて」 殺気走ったナルトの視線を涼しい顔で受け流しているサスケを指差し、サクラは困惑顔でカカシに嘆願した。 「こいつ、移動の途中でよろけやがった。里までオレが抱えて帰る」 「テメーじゃ役不足だってばよ。オレに任せろ、オレに」 「いや、だから……」 「二人はサクラのことを心配しているんだな?すばらしい、なんて美しい友情だ!よーし、みんなで交代してサクラを里に運ぶぞ!」 ぐっと親指を立てて、カカシは感動している。 もうやだ、何この人たち。 ※女を側にはべらせておきたいサスケ。サクラちゃんに触んじゃねー!のナルト。さっさと降りたい春野さん。 2012/08/22
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