長期の国外任務が近くなり、今日のガイ班は朝からミーティングとなっていた。任務に必要なこととはいえ、修行が基本の忍。椅子に座っているのが苦手なガイとリーは、ミーティングが終わるなり部屋を飛び出した。ガイ班では、よくある光景だ。 部屋に残されたテンテンとネジは、深いため息をつきながら後片付けをし、木ノ葉茶通りに出た頃には、昼飯時となっていた。 「まだ時間があるな……昼飯でも一緒にどうだ?」 午後からネジは宗家に行くと言っていた。テンテンはにこりと笑いを浮かべて、隣を仰ぎ見る。 「あら、ネジのおごり?」 「バカを言え」 「それは残念。おごりだったら喜んで付いてったのに」 「任務か?」 「今日は先約があるのよ」 つい、と指をさした方角、大きな杉の木の真下に、一期下の忍犬使いがしゃがみこんでいた。ネジとテンテンの姿を認めると、片手を挙げる。その隣には、すくすくと成長中の赤丸が丸くなって寝ていた。 「アレと昼飯か」 「そう、アレと」 ひくりとネジの眉が動く。その胸中は、よく一緒に飯を食う気になれるものだ、といったところだろうか。ネジとキバは、ヒナタのこともあってか、どうも折り合いが悪い。しかしテンテンは、そんなことに構うことなくキバの元へと寄っていった。 「どもっす」 「時間通り、か。意外とマメね」 「自分、一応忍びですから」 膝元をパンパン、と叩きながら腰を持ち上げ、キバが言う。 「お前の好みをどうこう言うつもりはないが、付き合う人間はちゃんと選べよ」 小さなため息と共に、背後からネジの声。キバは勿論、脊髄反射の勢いで噛み付く。 「それどういう意味だよ!ちょっと姉さん、何か一言……!」 「失礼ね、別に好みじゃないわよ。理想は高いの、私」 「そりゃねえよ、姉さん」 ガックリとキバが肩を落とすと、まるで慰めるように赤丸がワンと鳴いた。 「まあいい。オレはここで失礼する。また、明日な」 「あ、ネジ。手土産ちゃんと持っていくのよ」 「わかってる」 「いっつも同じものじゃ芸が無いんだから。ちゃんと選んでね!」 「わかってる」 「ちなみに、最近和菓子が続いてるから、味を変えること!」 「それもわかってる!」 距離がだんだんと開くものだから、二人の声も自然大きくなる。 きまりの悪そうなネジの顔を見るのは楽しいが、ここらで切り上げてくれると有難いというのがキバの心情だった。その間もテンテンの助言は続き、最後には手土産を買う店の指定までする始末。 「大丈夫だから、心配するな!」 逃げるように去っていくネジだが、テンテンはまだ心配そうな顔をしている。 なんか、近所に住んでる世話好きのおばちゃんみてえ。 ぼんやりと二人のやりとりを眺めながら、キバは思った。 「さて、ご飯、ご飯と。何か食べたいものある?」 「ラーメン続きだったんで、麺類は避けたい感じ。ところで、姉さんさあ」 「ん?」 「いい母ちゃんになるっすよ」 ※「者の書」でテン助が世話好きとあったので。ネジのこと色々世話焼いてそう。ちなみに、キバとの間に何かがあるわけでもなく、ただの友達。一応、念のため。 2008/10/16
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